■マコの傷跡■

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chapter 3



~ chapter 3 “派閥”~




家で度々そんな事があったわりに、私は元気な小学生だった。
明るく活発で、友達も多かった方だろうと思う。
ただし、兄の話はどの友達にも一切しなかったが。

そんな中、小学5年の終わりに引越しが決まった。
引越した先で小学6年生を過ごす事になる。
転校した先の学校は、今までと全く違う空気の学校だった。

今までの学校はクラス全員で仲が良かった。
休み時間になると誰かが先頭を切って校庭に遊びに行く人を募った。
「長縄跳び、やる人~~!!」
やりたければ返事をし、校庭に出れば仲間に入れたし
今はやりたくない、と思えば黙って教室に居ればいい事だった。

転校先の学校は小さな派閥が出来ていた。
仲良しグループ、というその形は私には理解出来なかった。
クラスに仲のいい女の子が2人出来たが
その2人は違うグループに属していた。
1人の子はいかにも子供らしい感じで明るく、活発に遊ぶ子だった。
もう1人は少し大人びた、優しくキレイな子だった。そして家が近所だった。
どちらも好きだった私は、その時々によって、どちらとも仲良くした。
どちらとも仲良くする流れで、それぞれの所属するグループに
半分入っている状態になった。

そのうち、言われた。
「どっちのグループに入るの!?」
“グループに属さないといけない”という発想がなかった私は戸惑い、
どうしてみんなで仲良くしてはいけないんだろうと悩んだ。
どちらかのグループに入れば、自分が気が乗らない時も
一緒に校庭に出て遊ばなければならなかったし
トイレさえも全員一緒に行かなければいけない。
それになんの意味があるのか、よくわからなかった。
ただただ、そんな付き合いは面倒だった。

そのうちどちらかに属さない、ハッキリしないヤツ、と思われ
だんだん風当たりが冷たくなった。
仕方なく、片方のグループと行動を共にする事にした。
普段の遊びが比較的合う、活発な子の居る方に。


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